1.気密性能とは何か?

気密性能とは、その建物がどの程度気密であるかという性能のこと。言い換えれば、どの程度隙間があるかを示す住宅性能のことです。

昔の日本の家は隙間だらけで、特に冬は隙間風が入り寒かったものです。そこで、1980年頃から住宅の断熱化の促進が図られ、その中で気密を高める取り組みが進み、現在に至っています。最近では、気密についてのこだわりを各住宅会社でアピールしているので、その必要性をご存知の方も多いと思います。

気密を確保するための特殊工事としては、壁、天井、床の見えない部分を、サランラップの様なシートで隙間なく包み込む方法や、柱や断熱材同士のすき間を、テープを張り付ける事で無くしてしまう方法、現場施工の吹付断熱材そのものが高気密にできる方法など、幾つかあります。

ただ、気密性能にこだわる程、コストに跳ね返ります。また、現場の施工不良があれば性能を全く発揮しない場合もあります。各種建材は時間と共に微妙に収縮しますので、精度の高い気密工事が長期間その性能を発揮できるとは言い切れません。単純にパンフレットの性能を信用することができないのが事実です。

実際、お客様が住む住宅の気密性能は、パンフレットや設計図に示された性能ではなく、完成後に計測した性能で初めて判明します。施工精度に大きく影響を受けるからです。気密性能を追求される場合には、先ずはこの事実を踏まえて下さい。


2.気密性能を確保すべき理由は何か?

次に、気密性能を確保すべき理由の4つをまとめます。

1)  隙間風の防止による快適性の向上。
2)  隙間風による暖冷房負荷の低減(つまり省エネ)。
3)  壁体内部での結露の防止。
4)  設計で意図した換気性能の確保。


1)、2)については、隙間風による熱の移動が妨げられるので、熱損失が抑えられてその結果、省エネが図れるということです。


3) 壁体内部での結露の防止

壁体内部での結露とは、冬場の暖房時、温度が高くて湿気を帯びた室内の空気が壁の中に侵入し、その空気が壁の中で冷えて空気中の水分が水滴となることです。

壁の中に水滴が溜まれば断熱材が水分を含みます。すると断熱材の性能が低下したり、断熱材が重くなって下の方にずれたりします。ひどい場合は木材が腐朽したりします。壁体内部の結露により様々な弊害が生じるのです。

これを防ぐためには、室内側壁の裏側に防湿シートを施工することで対応しますが、この防湿シートが気密を高める役割を兼ねています。このことから、気密性を確保する目的の一つとして、この壁体内結露の防止が挙げられるのです。

4) 設計で意図した換気性能の確保

室内空気の鮮度を保つために、設計の段階で換気計画を立てることが、法律で義務付けられています。住宅の規模に応じた換気設備を設置することがその具体策です。

機械設備で排気する時は、設置した給気口により、新鮮な空気を取り入れることを計画しておきますが、気密性能が十分に確保されない住宅の場合、給気口ではなく壁、床、天井などを通過した空気を取り入れてしまいます。(ちなみに給気は、自然方式と機械方式の2種類あります。)

そうなると、空気が入れ替わらない場所ができたり、そもそも家全体の空気を入れ替える量が減ったりして、空気の鮮度を保てなくなります。

この理由からも、気密性能の確保が必要なんです。


3.気密性能を測る指標を、C値(相当すき間面積)と言います。

それでは、実際どれくらいの気密性能を確保すればいいのでしょうか。

これを判断するための指標を、C値(相当すき間面積)と言います。住宅業界で標準となった気密性能の指標ですので、ご存知の方も多いと思います。

C値は家全体の気密性能を測る指標で、小さい数字ほど気密性能が優れています。C値にこだわる方は、各住宅会社が答えるC値を比較されていらっしゃいますね。

4.C値にこだわる前に、知って欲しいこと。

気密性能を測る指標であるC値。現在建てられている国内の住宅は恐らく、

0.16 - 5.0

の範囲に収まるでしょう。それでは、具体的にどれくらいの数字を確保すればいいのでしょうか?

この議論においては、様々な視点から総合的に判断するべきですし、単純に数字が優れているから良いとは当社では考えていません。高気密住宅のデメリットやコストアップなどにも配慮しながら、バランスを取ることが大切だと思っています。

4.1 換気の視点からの判断。

室内の換気と気密性能には密接な関係があります。気密性能が低ければ、室内の空気を排気した時に気圧差が生じる事で、壁や床や天井の隙間を通して自然に空気が流入します(漏気と言います)。

隙間から入る壁などの中の空気は汚れている可能性がありますし、そもそも当初の計画通りの換気ができないため、空気の入れ替えができない場所が生じる可能性が十分にあります。

気密性能が高ければ、漏気が無い分当初の計画通りで、適切な場所に設置した給気口から新鮮な空気を取り入れることが可能となります。

ただ気を付けたいのが、気密が高すぎる事による弊害です。

換気設備にはフィルターが設置されており、そこには室内の埃が詰まっています。1-2か月ごとに掃除をしないといけない程、埃が溜まります。また、電気代を節約したり、気になる音を消したりしたいという理由から換気設備の電源を切る人も大勢いらっしゃいます。

高気密住宅は、気密が高すぎて‏自然な空気の入れ替わりが無いため、計画換気が必須です。だから、この換気設備が正常に作動しないと、空気の汚染が一気に広がってしまいます。高気密のマンションや住宅でのシックハウス症候群のリスクが高い理由が、ここにあります。

従いまして、高気密を追求する時には、長期間にわたり換気設備を正常に作動させるという、住まい手の義務も付随するのです。

4.2 壁体内結露の視点から

壁の中の結露を防ぐ防湿シートが、気密性能を高める気密シートを兼ねています。だから、壁体内結露を防ぐために気密を高めるべきであるという議論となっています。

そもそも壁体内結露を防ぐセオリーは、次の3点です。

・ 室内側に防湿層を設けて、室内側で湿気を遮る性能を高めておく(「透湿抵抗比」を上げると言います)。
・ 外壁通気を設けて、壁の中の湿気を排出する工法とする。
・ 室内側、室外側で透湿抵抗の高い材料を使う(湿気を通しにくい材料を使う)。

こちらについては、別の機会にご説明したいと思います。

つまり、このセオリーを守っておれば解決する話であり、壁体内結露対策において高気密化が必要条件という訳ではありません。ですから、数字を追えば追うほど結露対策ができるという訳ではありません。結露対策においてはむしろ、施工現場での施工不良の完全防止という視点の方を重視するべきです。

4.3 省エネや断熱性能の視点から。

断熱性能を確保するにあたって気密が高い方が優位であることは確かです。問題はどの程度まで確保するかということです。

参考として、平成11年次世代省エネ基準では、5.0以下が推奨されています(寒冷地では2.0以下)。今では大半の新築住宅は、この程度は確保できていると思いますし、当社では5.0以下は当然で、2.0程度は確保すべきであると考えています。

漏気を防ぐことができる高気密住宅は、断熱性能の視点から優位であるのは確かですが、換気において熱交換方式の換気設備では無い場合、給気を通じて外気の熱は侵入しますし、自然給気であれば給気口から直接外気が侵入します。ですから、省エネや高い断熱性能目的で、高気密住宅を検討する時には、この換気計画もしっかりと考えておく必要があります。

高気密・高断熱で、換気設備で室内空気を完全制御する住宅では、1年中24時間、窓は閉めっ放しでエアコンの常時稼働という住み方が前提です。現在ではこのレベルの住宅も選べる時代となっています。

新築住宅をご検討されるにあたっては、気密と換気は一体の概念で、選択肢が様々あって、それぞれにメリットデメリットがあるという事を踏まえた上で、選ぶことをお奨めします。


5.まとめ。気密計画で大切なのはトータルバランスと暮らし方。

気密性能を追求するにあたっては、

換気

壁体内結露

断熱性能

の3つの視点から検討する必要性をお伝えしました。

気密性能を考えるにあたり、当社アイ.創建は、高気密であればあるほど良いという考えではありません。現実的な毎日の暮らし方や、建物を構成する各種材料の経年変化など、総合的な視点から考えた結論です。

ただし、快適な住環境を長年確保していただくために、当社ではC値2.0以下を確保できる、アクアフォームという断熱材をお客様のご要望に応じて採用しています。

最近では、高性能のZEH住宅仕様までが実現できる時代です。当社では、ZEH仕様も含めたあらゆるお客様のニーズにお応えできる体制としていますが、気密性を追求するにあたっては、以上の点とコストを総合的に考えてお客様へご提案しており、コストばかりがかさんでしまう過剰スペックは、できるだけ避ける方針です。

住宅の性能は、長期間にわたりその性能が確保されるべきです。完成時点で断熱気密性能が高くて、その後時間の経過とともにその性能が落ちてしまう事ほど、愚かなことはありません。気密工事に使用する建材や接着剤の経年劣化の問題を解決して初めて、高性能の気密住宅と言えるのではと考えます。

人と住宅の健康寿命を延ばすこと。

高気密住宅では、室内空気を十分に換気することが、健康維持のために必須となります。シックハウス症候群の原因である揮発性有機化合物による汚染空気が、室内に充満することの無いようご注意下さい。

また、高気密住宅であっても、天気の良い日に窓を開けて外気を取り入れたり、室内のチリや埃をマメに掃除することが、人体だけでなく建物の健康寿命を延ばすことにも繋がります。これは木造住宅である限り、今も昔も変わりません。

参考リンク

新建材と住宅の高気密化が原因とされる、シックハウス症候群についての解説記事です。 → シックハウス症候群とは?原因や対策を住宅の専門家が詳しく解説します。