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1.日常生活では、キズや汚れはあって当然です。
キズや凹み、汚れは生活の中で生じるのが当たり前です。
小さなお子様が、食べ物や飲み物をこぼしたり、落書きをしたり。室内犬がおしっこをしたり、猫が壁をガリガリしたり。大人でも誤って傷をつけたり、汚したりというのはあって当然です。
それはごく日常のことですから、その時々で正しい対処をすればそれでいい訳です。無垢材の床の場合、特に無塗装の場合は汚れが付きやすいのは確かですが、適切に対処すれば汚れは取れますし、年月が経てば深みが増した濃い色に変わるため、汚れも目立たなくなります。
上の写真は当社で建築したお住まいで、床は巾広の無塗装のナラ材ですが、たった5年でこれだけの深みが出てきます。
漆喰は、耐久性が高い理由から世界中で好んで使われている建材ですが、ヒビや割れが生じるのも事実です。
上の写真は室内の入隅(コーナーのこと)の割れです。ただし、クロスでも継ぎ目部分で縦に割れが入ることがあります。
漆喰は白い壁なので、手あかで汚れやすいところも出てきます。ただし、汚れるのはクロスでも同じこと。洗剤でふき取るか、漆喰向けの対処をするかの違いだけです。詳しいお手入れの方法を次から詳しく見ていきましょう。
2.天然無垢の床材のお手入れ。
床材の商品は様々で、恐らく商品の数は100種類は超えると思います。そして、無垢材の床も幾つかの類型があり、10mm-30mm程度の厚さの天然の木材を床材とするケース(単層フローリングの中のフローリングボードに分類されます)や、厚さ0.3mmから1mm程度に薄く削った天然木の下に合板や積層材を基盤として接着したもの(複層フローリング)に分けられます。
そして床材の仕上げをどうするか。つまり、ウレタン塗装にするのか、無塗装にするのか。ワックスも樹脂系(表面がコーティングされた状態となる)、オイル系(木材に浸透する。ロウを揮発性の有機溶剤に溶かしている)、水性(木材に浸透する。ロウを水に溶かしている)と、分けられます。そして、100%天然由来成分で作られたワックスもあり、これは天然のロウと植物性オイルで作られています。
軽い凹みや傷への対処方法
無垢の床材は、場合によっては傷がついたり凹んだりします。固い樹種では傷がつきにくいですし、柔らかい樹種なら傷はつきやすいです。
床材の硬さ次第でその程度は変わりますが、床にモノを落としたり、モノを引きづったりすれば、床には傷が付きます。この場合、水を垂らしてしばらく放置するだけで元に戻ります。
強めの凹みであれば、濡れ雑巾の上からアイロンをかけると、より効果が出ます。
因みに、表面に薄いシート状の木を張り付けた複合フローリングの場合、傷次第で下地が見えてしまうことがあります。こうなるとパテを詰めたり木目を手書きしたりと、結構手間のかかる作業が必要です。薄いシート状の木は劣化しやすいので、表面の保護のためにワックスをマメに塗った方がいいでしょう。
水分による汚れやシミへの対処方法
水気のあるもの、例えばジュースやコーヒーなどをこぼした時は、直ぐにさっと吹けば取れます。
また、シミが残った時は石鹼水で汚れが取れます。当社からは、手に優しいシャボン玉石鹼を、お掃除用としてお渡ししています。
また、100均でも売っているメラミンスポンジでも、軽い汚れなら取れます。
当社でも開催しているお手入れ教室の写真です。
天然木の床が無塗装の場合、水分が浸透し汚れが完全に取り切れない時があります。ただ実際住み始めると、次第に床材の色が深みを増し濃くなっていきますので、気にならなくなります。水分の浸透をしっかりと防ぎたい場合は、自然素材由来のワックスをお奨めしています。
天然木の単層フローリングの雑巾がけは、濡れた雑巾ではなくからぶきで十分です。濡れ雑巾は、木材を湿気させ、収縮の原因となるのでお勧めできません。
3.漆喰壁のお手入れ。
日常生活の中では、手あかで漆喰が汚れることが大半です。特に、電気のスイッチボックス周辺の漆喰が汚れるケースが多いです。
このような汚れは、軽い場合は消しゴムで消えますし、それでも消えない場合は、サンドペーパーでこするだけで解決します。
広い面で汚れた場合(例えばキッチンの油汚れなど)は、生石灰を水で溶かした溶液を刷毛で塗って奇麗にします。
漆喰は下地の材木の微小な収縮の影響で、ヒビはどうしても入ります。特に天井と壁が当たる入隅部分でヒビが入りやすいです。
このような部分の補修のため当社ではご入居時に補修用の漆喰も入った補修用キットをお渡ししており、それを使えば漆喰の補修が簡単にできます。
このように、とても簡単に補修ができます。ビニルクロスの場合、接着剤が効かなくなって剥がれたり、下地が湿気て色が浮いてきたりすれば、張り替える必要がありますが、クロスの張り替えはご家庭では難しいかもしれません。
4.メンテナンスキットのご紹介。
当社アイ.創建では、建物完成時にお客様にメンテナンスキットをお渡ししています。
中身は左上から、補修用漆喰、シャボン玉石鹼(床材清掃用)、お手入れ手帳(無添加住宅)、木材保存剤(害虫対策)、温湿度計(新築直後の湿気の監視に)、養生テープ、サンドペーパー(漆喰の汚れ落とし)、しぼり袋(練った漆喰の作業時の容器)、そとかべバリア(外壁漆喰の汚れ落とし)、ポリ手袋。
全てケースに収納してお渡ししています。
5.カビへの対処
夏のじめじめした季節、室内の湿気が気になりますね。特にトイレ、洗面、キッチンなどの水回りではカビの不安が。
表面をウレタンなどでコーティングした木材に比べて、無垢で無塗装の木材はカビやすいです。特に窓まわりの木材で多いと言われています。新築直後は特に、漆喰、木材、そして基礎のコンクリートの水分が抜けきっていないため、室内が比較的湿気やすい状態です。これらの水分は数か月で抜けますが、入居後の梅雨時分は特に湿気やすいです。
対策としては、除湿を怠らないことですが、クエン酸スプレーをしてその後乾いたぞうきんでふき取れば、カビの繁殖は防げます。気になる方はお掃除の時に試してみてはいかがでしょうか。(殺菌作用の強い酸でカビ菌をやっつけます)
ただし、これまでにメンテナンスや定期点検でお客様のご自宅を訪問した時に、室内の無垢材にカビが発生しているのは見たことはありません。漆喰の調質機能がしっかりと働いているのだと思います。
6.まとめ。 -住むほどに愛着が増す天然素材の家
無垢材の床は建物完成の時点では、まだ50%の仕上りであって、それからゆっくりと風合いを増して数年たってようやく100%の仕上がりになると考えていただけますと大変嬉しいです。
無垢の床は、毎日触れて一緒に生活していると、じわじわと馴染んでくれるものです。人間の皮脂は無垢の床の劣化を防ぐ効果があります。皮革製品と同じですね。大切にメンテナンスし続けると愛着も沸いて来るでしょう。
歴史のある神社やお寺の床は鏡の様に反射していますが、一般家庭でも丁寧に手入れをすれば同じくらいのツヤは出ます。無垢材の床をお奨めしたい最大の理由は、家族の歴史を感じられるところかもしれませんね。