1.「耐久性を確保する」とは?

数千万円もの高額となる住宅の取得。この住宅を長期間住み続けるという想いで、皆様取得されていらっしゃると思います。ただその時、この先例えば50年で、住宅に必要な出費がどれくらいになるのかについて関心を持つ方は、とても少ない気がします。

将来まとまった修繕費用が、果たしてどれくらい発生するのか? それは建てる時にほぼ決まります。つまり建て方次第で、費用を抑える事もできるのです。

戦後の日本の住宅は、最長でも30年持てばいいという発想で建てられてきました。

築30年ほど経過した住宅は至る所が傷んでおり、大規模な修繕を余儀なくされる事態に。その莫大な費用を考えた結果、建替えいう選択肢を選ぶ。もったいない話ですが、実際こんなケースはとても多いのです。

結果的に、日本の住宅寿命は他の先進国と比べて極端に短いのです。

住宅寿命の国際比較(出所:国交省 H30.住宅経済関連データ)

アメリカで66年、イギリスで80年である一方で、日本は32年。半分以下です。寿命が長いと建てる頻度が下がるので、その分得しますね。イギリスでは3世代で1回建てる一方で、日本では1世代ごとに建てる計算です。家族全体で見れば、コストは1/3で済んでいる訳です。この差は大きいですね。

2.30年で約700万円ほどの修繕費用の違いが生じる。

建物の耐久性が高い住まいとは、修繕の機会をできる限り減らす様に考えて作った住まいです。最低50年は住み続けたいですし、それは今の技術では難しくありません。丁寧に住み継げば、イギリス並みの80年も十分可能です。

長く住み続ける場合、取得費用も合わせた50年間での出費をどうやったら減らせるか?という課題を最優先にして家をつくることが、最もお得で賢い選択肢なのです。

ここでご参考までに、無添加住宅が試算した、「無添加住宅の家」と「長期優良住宅仕様の家」のそれぞれの修繕費用の試算結果をご紹介します。(天然素材の無添加住宅は、耐久性にも拘った家づくりが売りなんです。)

30年間の修繕費用を比べたこの試算結果によれば、

無添加住宅 : 約181万円
長期優良住宅: 約875万円

となります。「長期優良住宅」という名称の家づくりであってもこの結果です。

屋根の葺き替えやサイディングの外壁の張り替えが主な出費の内訳ですが、詳しい内容は、横浜中川の無添加住宅展示場に資料がありますので、関心のある方はお問合せ下さい。

無添加住宅横浜中川モデルハウス

参考リンク

無添加住宅 横浜中川展示場ウェブサイト

3.建材寿命に配慮した建て方かどうかが別れ道。


建物の耐久性は、すなわち全ての建材の耐久性です。


木材は、環境への適切な対応を図れば数百年は持つ建材です。木材の大敵である湿気や雨水への対策が十分になされた家屋では、材木を健康に維持できます。その結果、当初の性能が長期間確保できます。

そうではない家屋であれば、建材が劣化するので、当初計画した断熱性能や耐震性能は時間とともに低下していきます。

現代の木造住宅に使用されているビニルクロス、合板、樹脂系接着剤、合成ゴム、プラスチック製品などの石油由来の建材も同じく、時間と共に劣化します。各種新建材の寿命は千差万別で、施工の状態にも左右されます。ただし、現場で材料を取り扱っている職人である私の印象としては、石油由来の建材は劣化しやすいです。

雨水の侵入や結露の発生に関する技術的なノウハウ次第で、建物寿命が大きく変わります。当然、新築当初だけではなく長期間健全な状態を維持させることが大切で、かつ、それを如何にコストを下げて実現するか? これが今の家づくりにおける、技術面での最重要課題であると思います。

4.耐久性が劣る住宅がもたらす将来不安。

4.1 30年後の住まいの状態を予想する。

例えば30年後、耐久性が劣る住まいがどうなってるかを、想像してみましょう。

屋根や外壁は見た目でも分かるくらいボロボロ。雨漏りの心配が生じる。こんな状態であれば、恐らく見えないところから既に雨水が浸透しているでしょう。

パンフレットでアピールしていた断熱材は、壁体内の結露への配慮不足で湿気を含み、その性能がほぼゼロ。住宅の断熱性能はとても低い状態に変わっているでしょう。

同じく、壁体内の結露に配慮されていない場合、耐震面で重要である材木の接合部などが劣化し、耐震性能も落ちている可能性があります。

シロアリに弱い材木を土台に使っている場合、防蟻材の効果が落ちていれば、条件によってはシロアリが発生しているかもしれません。

このような事態となるのは十分に予想できます。

4.2 手間賃も不確実。

建築費用には職人の手間賃が含まれます。

今現在でも職人は人手不足。成り手も少なく人口も減少傾向。将来の深刻な職人不足が、実は、今業界の大問題なんです。一方で、中古住宅の数は減らないため修繕工事のニーズは、常に高い状況でしょう。

となると職人の手間代が高騰することが十分に予想できます。どうしても人の手でする仕事ですから、30年後でも同じことをしているでしょう。

引き継ぐ子供たちから、「なぜ、こんなに金のかかる家をウチの親は作ったんだ!家に金がかかる一方じゃないか!!」と言われる憂き目を見ることに、なり兼ねません。

4.3 処分したくてもできない。

それでは、住めないならば売却すればいいのかと言えば、そう都合よく事は進まないでしょう。


人口も減少しているでしょうし需要よりも供給が強い時代でしょうから、買い手がなかなかつかないでしょう。売れる中古住宅は、耐震性や断熱性が維持されているものに限るでしょう。

既に、住まいの状態を客観的に把握できる「住宅履歴情報」の整備が始まっていますので、中古住宅の品質が比べられます。耐久性が低くて劣化した住宅は、査定が低く、売れたとしてもほとんど値が付かないでしょう。

だから、処分したくてもできないということが十分に予想できるのです。

5.まとめ -中古住宅の査定に変化の兆しあり。

耐久性に配慮した家づくりが、これからの時代、とても大切である事をお伝えしました。住宅を建てるにあたり、将来の資産価値に配慮していないと、今の子供たちに負担をかけてしまうことをご理解いただけますと幸いです。

最後に、中古住宅の査定についてお伝えしておきます。

現在、中古住宅の査定において、築後20-25年でほぼゼロで査定されています。(これは、法人税法上の耐用年数が木造住宅の場合22年であることに起因します) つまり、たとえ住宅設備を一新したリフォームをしていたとしても、住宅の状態を一切考慮せず、査定は築年数次第で決まるというのが実情です。

このような現状に変化の兆しがあります。

平成26年に国交省から、中古住宅の建物評価をその品質に応じてするべきであるという考えの下で、指針が発表されました。今後、中古住宅の使用面での価値を考慮した評価が浸透すると考えられます。

つまり国の方針である中古住宅の流通促進という側面から考えても、住宅の耐久性を強く意識すべき時代であるということが分かります。

参考資料  中古戸建て住宅に係る建物評価の改善に向けた指針 H26国交省